おうちでシャンプーをする!と、口で言うのは簡単ですが、やってみると以外と難しいものですよね。
実際、私がトリマーの専門学校に通い出して一年目の頃、毎日実習で犬のシャンプーをしていましたが、しっかりシャンプーができるようになるにはかなりの期間がかかりました。
トリマーにとってシャンプーとはトリミングの土台みたいなもので、シャンプーがしっかりできていないと、ドライングが上手くいかなくなり、ドライングがきれいにできないとカットにも支障がでてきてしまったりするので、シャンプーはとても大切な工程です。
飼い主さんによるおうちシャンプーは、プロのように上手に!とまではいかなくとも、安全に汚れをきれいにできれば十分だと思うので、なるべく簡単にシャンプーできるコツを紹介していきたいと思います。
ぬるま湯でしっかり濡らす!
浴室や洗面台でシャンプーを行う場合は滑り止めマットを下に敷いてあげると、足元が安定して犬が落ち着きやすくなります。
犬が濡れた際にするブルブルは想像以上に周りがびしょびしょになってしまうので、できれば浴室のほうがおすすめです。
お湯の温度は35〜37℃と人ではぬるいと感じるくらいにしておきます。
※心臓が悪い犬やシニア期の犬は低めの35℃ぐらいがいいです。
最初の大事なポイントは、毛と皮膚をぬるま湯でしっかり濡らすことです。
そんなの簡単じゃないのと?と思われるかもしれませんが、犬の毛や皮膚には皮脂膜というものがあるため水を弾きます。
しっかり濡らしたつもりでも根本には全く浸透していないなんてことも多々あります。
シャワーの水流を強くして、シャワーヘッドを地肌に添わせながら手も使って時間をかけてしっかり濡らしていきましょう。
そのとき、いきなり頭の方からシャワーをかけるのは辞めましょう。
水に慣れていて全然平気な犬はいいのですが、苦手な犬はびっくりしたり怖がってしまうことがあるので、最初は水流を弱くして後ろのほうから濡らしていくのがいいと思います。
顔を濡らす時も水流を弱くして、目や鼻に水が入らないように気をつけましょう。
顔を上に向けると鼻の方に水が流れていかないので鼻に水が入りにくくなります。
シャワーを嫌がる場合はスポンジにお湯をふくませて撫でるように濡らしたり、手のひらにお湯をためてかけたりすると嫌がりにくく安全です。
耳に水が入るのを嫌がる犬も多いので、大まかに濡らすときは耳を手で押さえて水が入らないようにして、細かい部分はスポンジを使って濡らすといいです。
ある程度水が平気な犬に限られますが、全身をしっかりと確実に濡らすときにおすすめの方法があります。
それは犬がすっぽり入るサイズのベビーバスや、たらい、大型犬なら浴槽などにお湯をためて犬に入浴してもらう方法です。
こうすることで顔以外は確実にしっかりとお湯を浸透させることができます。
少量のシャンプー剤を最初にいれ、シャワーの水流強くしてお湯を溜めれば、泡風呂のようになるので一回目のシャンプーのかわりにもなり、汚れが酷いときや時間短縮したいときにはかなり効果的です。
泡風呂状態で犬が浸かっているあいだに、顔をスポンジなどで濡らしていき、泡を顔にのせて軽く一回目のシャンプーをするのもいいと思います。
まずはこの湯洗いで汚れの70〜80%を落としていきます。
シャンプーは泡立ててから使用する
しっかりと全体を濡らすことはできたら次はシャンプー剤を使ってシャンプーしていきましょう。
ここでの大事なポイントは、シャンプー剤をしっかり泡立てて使うということです。
シャンプー剤を直接犬のかけてゴシゴシ泡立てるのは絶対に辞めましょう!
これをしてしまうと、ゴシゴシの摩擦が皮膚への刺激になったり、傷つけてしまうことになりかねません。
またシャンプー剤を過剰に使う原因にもなるので、皮膚のバリア機能を壊す可能性や、洗い流すのに時間がかかったりとデメリットしかありません。
人の洗顔のときに泡立てたモコモコの泡で洗うのと同じで、泡で摩擦を減らし優しく洗うことを心がけましょう。
泡立てるときは、洗面器などにシャンプー剤と少量のお湯を入れて、泡立てネットやスポンジで揉み込んできめ細かい泡を作っていきます。
また泡で出てくるボトルを使うのもおすすめです。シャンプー剤の原液と水の量で濃度を調節しやすいので便利です。
泡を犬の体にのせていき、毛の流れにそって毛と地肌に泡を行き渡らせていくイメージで優しくマッサージするように洗っていきましょう。
ここでも摩擦しないよう意識して、手と皮膚の間に泡のクッションを作り、毛の流れに逆らってゴシゴシしないように注意しましょう。
ゴシゴシ洗いをすると、とくに毛の硬い犬では毛穴に向かって毛が押される状態になるので、嫌がる子もいます。
優しくマッサージするようにすることで嫌がりにくく、リラックスして気持ちよさそうにしてくれることもあります。
洗っていく順番は汚れの酷い足先や内股などから洗っていくと汚れを落としやすいです。
また汚れの酷いところはシャンプー剤の濃度が濃いめのものを使うとすっきり汚れが落ちます。
足先がお散歩で真っ黒!という状態の犬のシャンプーは、足先だけ3度洗いなんてこともあるので、汚れ具合に合わせて調整しましょう。
耳は皮脂が多く油分が残りやすいので、しっかりと濃密な泡をのせ洗っていきます。
耳の穴の中にシャンプー剤を入れるのはよくありませんが、穴の周りまでは洗っても大丈夫です。
他の場所を洗っている間に泡が目に入るのを防ぐためにも、顔は一番最後に洗います。
顔のシャンプーは水気の多い泡だとどうしても洗っている間に垂れてきて、目や鼻に入りやすくなるので、もっちりとした濃密な泡で洗うことをおすすめします。
全身泡で洗うことができたら、すすぎをしていきます。
シャンプー剤が皮膚に残らないようしっかりと時間をかけてすすぎを行いましょう。
すすぎは顔からしていきます。
シャワーを嫌がる場合は濡らすときと同じで、スポンジを使いましょう。
最初に大まかな泡をスポンジで拭き取るようにして、そのあとで流していくとやりやすいです。
もし目にシャンプー剤が入ってしまった場合はすみやかにきれいな水で流してあげてください。
耳を流す際に耳の穴の中に泡が入っていないか確認し、もしも入ってしまっているようであれば優しくぬるま湯をいれてすすいであげましょう。
きれいな水であれば耳の中に水が入ってしまっても、シャンプー後に犬にブルブルをしてもらえばほとんど耳の外へ出ていってしまうので、心配しなくて大丈夫です。
頭から体へ、体から四肢へと上から下へと流していくと効率的です。
すすぎながら手で毛や皮膚を触り、シャンプー剤が残ってないか確認しましょう。
きれいに汚れが落ちているかどうかの目安としては、指でなぞったときにきゅっと音が鳴るかどうかです。
ぬめっとしている場合は、二回目のシャンプーをすることをおすすめします。
二回目は汚れが落ちきれてない場所だけでかまいません。
その後はしっかりすすぎます。
きれいに汚れが落ちていない場合、ドライングのときにもなかなか乾かずに時間がかかってしまうので、シャンプーではしっかりと汚れを落とすようにしましょう。
まとめ
ポイントをまとめると、
ぬるま湯で毛や皮膚をしっかりと濡らす。
シャンプー剤は直付けせずに、泡立ててから使う。
洗うときはゴシゴシせずに毛の流れにそって優しくマッサージするように。
すすぎはシャンプー剤が毛や皮膚に残らないよう時間をかけて行う。
シャンプーは簡単ではありませんが、洗い方を知ることで効率よく犬を洗うことができます。
手順を守り、一つ一つの工程の意味を理解することがシャンプーの成功に繋がります。
嫌がることを極力しないように気をつけてあげると、今後のシャンプーがしやすくなりますので、もしも極度に嫌がる場合は無理せず、「今日は濡らすのも洗うのも足先だけ」というように、少しずつ慣らしていってあげることも大事です。
おうちで安全に愛犬をシャンプーして、人も犬も健康で気持ちよく過ごせるようになるといいなと思います。
コメント