犬のシャンプーはリスク?成分の見極め方を解説!

犬のシャンプー剤の選び方

最近では犬のスキンケアが注目されるようになり、トリミングサロンでのケアだけでなく、おうちでもシャンプーをする方が増えてきました。

シャンプーには汚れを落としたり、皮膚についた細菌やカビなどを洗い流すなどメリットもたくさんあります。

しかし、誤ったやり方や使うシャンプー剤によっては、シャンプーをすること自体が犬の皮膚にとってリスクになることがあります。

まずはそのことについて解説していきたいと思います。

シャンプーのリスクの正体

シャンプーのリスクとは、簡単に言うと乾燥です。

シャンプーをすると皮膚の水分が逃げていき、乾燥することによってバリア機能が崩れてしまいます。

バリア機能は外から細菌やアレルゲンが侵入するのを防ぎ、皮膚から水分が蒸散するのを防ぐ役割をしています。

その大切なバリア機能をシャンプーをすることで崩してしまうのが

シャンプーのリスクなのです。

私達人でも、手を何度も洗剤を使って洗うことで、カサカサして痒みが出ることがあったり、

痒みのために掻きむしって、肌が赤くなって傷ついたりしますよね。

犬においてもそれと同じことが起こる可能性があります。

シャンプーをするときは、

バリア機能を崩さず、皮膚を乾燥させないようにする対策が必要になります。

界面活性剤をチェックしてシャンプーを選ぶ

まず大前提に人用のシャンプー剤ではなく、犬用のシャンプー剤を使いましょう。

例えば、私達も食器用の洗剤で体や髪を洗おうなんて思わないですよね。

それと同じで、シャンプー剤も洗う対象が違えば、効果もそれに合わせた成分のものを選ばなければなりません。

犬の皮膚は毛で守られているため、皮膚自体は人よりも薄くできています。

人用のシャンプー剤を使うと刺激が強すぎて、皮膚のトラブルに繋がる可能性があるので、

必ず犬用のシャンプー剤を選びましょう。

犬用といっても、世の中にはたくさんのシャンプー剤がありますが、

バリア機能を崩さずシャンプーするには、どんなシャンプー剤を選べばいいのでしょうか。

『皮膚に優しい成分配合』や『保湿成分配合』という謳い文句のシャンプー剤は

いかにも皮膚に優しそうですが、実際はそうでないこともあります。

では何で判断するといいのでしょうか?

それは『どの界面活性剤を使っているか』ということです。

界面活性剤はシャンプー剤をはじめ全ての洗剤の主成分です。

界面活性剤にはたくさん種類がありますが、

犬のシャンプー剤に使われているものは主にアニオン界面活性剤です。

アニオン界面活性剤とは

高級アルコール系界面活性剤や、アミノ酸系界面活性剤、石鹸系界面活性剤と呼ばれるものです。

それぞれ洗浄力や脱脂力、刺激の強さ、起泡力が違います。

たとえば高級アルコール系界面活性剤は

洗浄力、脱脂力、起泡力ともに非常に高いです。

高級アルコール系の代表成分にはラウリル硫酸系やラウレス硫酸系などが挙げられます。

これらの成分は洗浄力が強い分、刺激が強いです。

そのため高級アルコール系界面活性剤が主成分のシャンプー剤に、皮膚に優しい成分や保湿成分が配合されていても、皮膚に優しいとは限らないし、保湿されるとも限らないのです。

ここでそれぞれの界面活性剤の特徴を抑えておきましょう。

高級アルコール系界面活性剤

主な成分は、ラウリル硫酸Na ラウリル硫酸アンモニウム ラウレス硫酸Na ラウレス硫酸アンモニウムなど。

洗浄力、脱脂力、起泡力が高い。

皮膚への刺激は強い。

皮脂汚れが強い場合は高い洗浄力に効果が期待できるが、

皮脂汚れが少ない場合やバリア機能が低下している場合は使用に注意が必要。

アミノ酸系界面活性剤

主な成分は、ラウロイルアスパラギン酸Na ラウロイルメチルタウリンNa ココイルグルタミン酸TEA ココイルメチルアラニンTEAなど。

洗浄力、脱脂力、起泡力は低め。

皮膚や毛への刺激は少ない。

高級アルコール系や石鹸系に比べて洗浄力や脱脂力や起泡力は低く、皮膚や毛に刺激が少ない。

敏感肌や乾燥肌、バリア機能が低下している場合はアミノ酸系界面活性剤が主成分のシャンプー剤がおすすめ。

石鹸系界面活性剤

主な成分は、ラウリン酸Na ステアリ酸Na オレイン酸Na パルミチン酸Naなど。

アルカリ性の洗浄成分。洗浄力は高く、起泡力は中程度。

刺激は比較的マイルド。

洗浄効果は高く、皮膚への刺激は比較的マイルドだが、一時的に皮膚表面のpHがアルカリ性に傾く。毛がきしんだり、キューティクルが開く。石鹸カスが残るといったデメリットもある。

 

どの成分が良いとか悪いというわけではなく、自分の愛犬にはどのシャンプー剤が合っているか考えていきましょう。

シャンプー剤を選ぶ際には、自分の愛犬の皮膚の状態や毛の汚れ具合をしっかり観察する必要があります。

子犬や、フケが出てカサカサしている乾燥肌、敏感肌、アトピー性皮膚炎の犬には、

バリア機能を崩さないために、アミノ酸系界面活性剤で保湿成分がしっかり配合されているものがおすすめです。

皮脂が多くベタベタしている犬の場合は洗浄力や脱脂力を皮脂量に合わせて選ぶ必要があります。

お散歩で足先だけ汚れが酷い場合は、体と足先でシャンプー剤を使い分けると良いです。

大事なことはその時その時の皮膚や毛の状態によってシャンプー剤を使い分け、バリア機能の崩さないために洗浄力や脱脂力を調節することです。

人においても、お化粧をした日と何もしてない日の洗顔は違いますし、

季節によって洗顔料を変えないといけない場合がありますよね。

髪の毛であれば、ワックスやオイルをたくさんつけた日は、いつも使っているシャンプー剤でも一回の洗浄ではきれいにぬめりがとれなかったりすると思います。

犬もそれと同じで、必ずしも一年中同じシャンプー剤を使っていて大丈夫ということではなく、季節や汚れ具合、皮膚の状態によって使用するシャンプー剤を変えていく必要があります。

まとめ

動物病院で働いていると、皮膚に何らかのトラブルを抱えている子のトリミングをすることが多いです。

その子その子に合ったシャンプー剤を選んでシャンプーすることで、皮膚の状態が改善していくことが多いです。

逆に合わないシャンプー剤でシャンプーをすると、新たな皮膚トラブルに繋がってしまうので、シャンプー選びはとても重要です。

もし今の皮膚の状態の判断が難しい場合は、動物病院で相談するのもおすすめです。

ただキレイにするという目的だけではなく、シャンプーには健康的な皮膚を目指したり維持したりする目的もあるということを覚えておいてもらえると嬉しいです。

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